湯浅誠さん・西野博之さん対談記録vol.4【居場所のちから~大丈夫のタネをまこう】

「学校ムリでもここあるよ」オープニングイベント
居場所のちから ~大丈夫のタネをまこう湯浅誠さん・西野博之さんの対談記録を連載形式でお届けします。

*開催日:2020年8月22日(土)
*会 場:お茶の水エデュケーションプラザ(EDUPULA)
*主 催:NPO法人フリースクール全国ネットワーク、NPO法人 日本冒険遊び場づくり協会、FUTURE DESIGN(多様な学びプロジェクト)、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
ゲストスピーカー:
社会活動家/東京大学先端科学技術研究センター特任教授/全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長・湯浅誠さん

NPO法人フリースペースたまりば理事長/川崎市子ども夢パーク所長・フリースペースえん代表・西野博之さん

本イベントは全てYouTubeで公開しています!


第1話 「生きづらさ」は、「気遣われない辛さ」

第2話 大人の肯定的なまなざしが、「大丈夫」になる

第3話 失敗しても伝えやすい社会へ

教科教育と非教科教育

生駒 さらにここで、来ているこどもたちがどんな力が育っているかを伺ってみたいですんが。曖昧さを生きていく力というか。

西野 びっくりするほど社会性が身についているんです。これだけ異質異年齢の子が集まっていれば「ちがっていて当たり前」が出来ているんですよね。色んなハプニングやトラブルに対処していく力がものすごく育っていて、見学やボランティアにきた大学生が固まってしまって、こどもに助けられる場面がたくさんある。

湯浅 教育には教科教育と非教科教育がありますが非教科教育は非認知能力といわれるものですね。いろんな人と関われる力とか、頑張れる力とか、今それが大切だといわれているわけですが、これについては学校の先生が専門だと思わないし、みんなが素人でみんなができるんだと思っているので、居場所だから特別できるわけでも、学校だからできるわけでもないんだなと。

天草市の副市長さんは、自分の背骨を支えているのは、昔小さい頃の一斉清掃が終わったあと区長さんから「お前は大人と同じくらい働いたから、もらう資格がある」ってパンと牛乳をもらったことだと話していた。そういうことなんじゃないかなと。

生駒 弱さや痛みに対して寄り添ってくれる人がいるから、そこにやりたいことが芽生えるんでしょうね。

湯浅 その人の持つ能力を評価すると「その能力のためだけですか?」という気持ちを相手に芽生えさせてしまうよね。

西野 さっきの気遣いや配慮をし続ける場所や、信じられる存在を得ることが大事なのかなと。この人だけは信じられる、という存在を手に入れられると、社会性とかって身についていくんだと思いますね。

湯浅 社会性や協調性って二種類あって、みんなが座っているから立たないっていうタイプの同調の社会性と、異文化の相手と何かを一緒にやるっていう社会性。どちらのことを言っているのかっていうのが大切なんだと思う。どういう社会性が大切で、どういう協調性を身につけたいのか、という。社会的には後者の協調性を言っているんだけど、まだまだ過渡期なんだろうな。

西野 こども食堂でも、「箸の持ち方が悪い」とか指導の対象になっちゃうことがあって。居場所を作るときに指導したがる大人とどう向き合うか、というのも私たちにとっての協調性だと思います。

湯浅 誰でも来ていい場所だからね。自由度を保ちながら、そういうのがやっぱり民主的というか。

西野 笑いに変えていければいいんだけどね。「あ、またあのうるさいおっちゃん来たよ!」みたいな。

湯浅誠さん

西野博之さん

第5回に続く)

◉2021年オープニングイベントレポート
8月21日(土)19時半〜21時半
※アーカイブ動画が視聴できます!
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