湯浅誠さん・西野博之さん対談記録vol.1【居場所のちから~大丈夫のタネをまこう】

「学校ムリでもここあるよ」オープニングイベント
居場所のちから ~大丈夫のタネをまこう湯浅誠さん・西野博之さんの対談記録を連載形式でお届けします。

*開催日:2020年8月22日(土)
*会 場:お茶の水エデュケーションプラザ(EDUPULA)
*主 催:NPO法人フリースクール全国ネットワーク、NPO法人 日本冒険遊び場づくり協会、FUTURE DESIGN(多様な学びプロジェクト)、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
ゲストスピーカー:
社会活動家/東京大学先端科学技術研究センター特任教授/全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長・湯浅誠さん

NPO法人フリースペースたまりば理事長/川崎市子ども夢パーク所長・フリースペースえん代表・西野博之さん

本イベントは全てYouTubeで公開しています!


生駒 こどもたちと家庭に居場所を可視化する多様な学びプロジェクトの代表をしています、司会の生駒です。
最初にNPO法人フリースクール全国ネットワーク会長の江川より、代表挨拶と趣旨説明です。

江川 コロナ禍の中でお越しいただき、オンラインでも沢山の参加をありがとうございます。「#学校ムリでもここあるよ」のキャンペーンは、厚生労働省の調査によりますが、十代のこどもが自死をするのが九月一日と言われています。この自死を防ぐため、昨年からキャンペーンをしています。

今年はコロナの影響もあり、こどもたちは非常に変則的な生活をしています。突然の休校、夏休みの短縮など、自分の意思でコントロールできないことが多い。そんな中で大人としてどう支援できるかを考える機会になればと思います。

このキャンペーンを通じて、学校だけでなく社会の多様な関係の中でこどもたちを支えていければと思います。


生駒 それでは対談をはじめます。社会活動家・湯浅誠さまよりお話をお願いします。

湯浅誠さん

湯浅 よろしくお願いします。
今年からこのプロジェクトに関わらせて頂きました。こども食堂の皆さんも、学校しんどければここにおいでよ、と思っているので、繋がってくれたらなと。
コロナを機に、居場所の居場所らしさみたいなものが現れたんじゃないかな。そこについて話していきます。

こども食堂は全国に4000箇所ほどあり、緊急事態宣言下でどう動いているか調査をしました。アンケート結果では一割ほどが「一応やっている」。この調査を受けて、報道では九割のこども食堂がやっていない、とされました。事実です。
しかし、私としてはそこじゃないと。21%ほどは「お弁当の配布」、他に「食材の配布」も合わせると43%ほどになるんですね。「食材の宅配」は3%。場所はたしかに提供できてないけれど、過半数の人が何かをしている。ここに居場所を考えるヒントがあると思いました。

驚くべき友人

湯浅 地域に自主防災組織ってありますよね、これは今回は活動していない。自然災害であれば出動しますが、今回は自然災害ではないので。ただ、それを言うならこども食堂だって同じだと思ったんです。出来ないなら休止、やった方が文句言われる、というのが当然だったのに、やり続けた。これは「つながり続けるという意思」が優先されたということだと思うんですよね。

居場所と支援を比較したとき、支援の使命は「課題を見つけること」の課題解決型
居場所は、言うならば友人モデル。「原因を追及しない」んです。現状が困っているなら大変だよね、と関わる。専門性は低いかもしれないけれど、関わり続けるひと。驚くべき友人って書きましたけど。

こども食堂でいえば、場所はなくなっても連絡を取り続けるとか、とにかく繋がり続ける。居場所の使命って、「気遣い続ける」っていうものなのかなと思って。そうじゃないと半分ほども活動していないので。

今回のテーマである「生きづらさ」は、「気遣われない辛さ」なのかなと思います。

繋がり続ける意思を最優先させることが生きづらさを解消していく

会社を休みがちになるとか、学校に行けなくなるとか、最初は主観的なものだったけど、だんだんと客観的になる。自分と繋がり続けようとする人がいる場所、それが「居場所」であり、主観的な生きづらさへの直接の支援なんじゃないかなと。「支援」ではない支援になってる。

私たちは「伴走型」とか「寄り添い型」とか言うけど、これを固い言葉で言うと、居場所というのは「繋がり続ける意思を最優先させることで、従来の制度ではアプローチできなかった主観的な生きづらさを解消していく新しい支援の形態」
そういうものが居場所の居場所たる所以だと思います。

繋がり続けるという支援は外から見ると分かりにくいけれど、そこが必要とされて、日本中に増えているのを見ると、社会的に、生きづらさへ働きかけることが必要だということが現れているのかな、と思います。

西野博之さん

こどもは権利の主体

生駒 湯浅さん、ありがとうございました。居場所を運営されている方は「驚くべき友人」という言葉に頷かれたのではないでしょうか。
次は川崎市子ども夢パーク所長、NPO法人フリースペースたまりば理事長の西野博之さんからお願いします。

西野 学校に行きづらくなった不登校のこどもたちの居場所づくりを三十数年していて、川崎市で「子どもの権利条例」を策定した時には、調査研究委員会の世話人をしていました。この条例では、こどもは権利の主体であること、こどもと大人は社会を構成するパートナーだ、ということを決めて、「子どもの居場所」という条文を入れました。これをもとにこどもたちと一緒になって条文の具現化をめざした「子ども夢パーク」をつくり、そこの所長をしています。

第2回に続く)

◉2021年のオープニングイベントを、8月21日(土)19時半〜21時半オンラインで行います!
参加者が100人を超えました。ぜひ周りの方とご一緒にご視聴ください。
YouTubeのコメント欄で質問や感想を送ることもできます!(参加費無料)

 

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ご支援や拡散にぜひご協力ください!