湯浅誠さん・西野博之さん対談記録vol.3【居場所のちから~大丈夫のタネをまこう】
「学校ムリでもここあるよ」オープニングイベント
居場所のちから ~大丈夫のタネをまこう湯浅誠さん・西野博之さんの対談記録を連載形式でお届けします。
*開催日:2020年8月22日(土)
*会 場:お茶の水エデュケーションプラザ(EDUPULA)
*主 催:NPO法人フリースクール全国ネットワーク、NPO法人 日本冒険遊び場づくり協会、FUTURE DESIGN(多様な学びプロジェクト)、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
ゲストスピーカー:
社会活動家/東京大学先端科学技術研究センター特任教授/全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長・湯浅誠さん
NPO法人フリースペースたまりば理事長/川崎市子ども夢パーク所長・フリースペースえん代表・西野博之さん
本イベントは全てYouTubeで公開しています!
評価のまなざしのないところは安心になる
生駒 高校年齢以上も受け入れていますか、という質問がありました。
西野 異質異年齢というのを大事にしていて、年齢制限はありません。同質同年齢にこだわると、比較や競争がおきるので。

西野博之さん
生駒 異質異年齢というのはこども食堂もそうですよね。
湯浅 よく例に出すんですが、昔やったドロケイあるじゃないですか。小さい子はすぐに捕まっちゃうので、あなたは三回ね、みたいにルールをカスタマイズするんです。
同じルールでしようとするとうまくいかない中で、みんなで楽しもうとルールを作る、というのは大事な経験だったんじゃないかなと思うんですよね。

湯浅誠さん
西野 困ったこと、めんどくさいことが起こるかもしれないけど、そこから学ぶことがある。合理的な中でその子の大切なことってこうですよね、と考えると失うものが大きくて。
生駒 学校・家庭に居場所がなくても、ここには来れるという子がいるんですが、お二人の話がポイントですよね。

進行・生駒知里
湯浅 自分を待っててくれる人がいる、という安心感があるんじゃないですかね。
西野 評価のまなざしのないところは安心になるんだと思います。支援臭や援助臭の漂う大人には近寄らない。
生駒 親御さんから「大丈夫だと言いたいけれど言ってあげられない」というコメントが。家庭の中にも支援臭があるのかな、と。
自分で考えて、失敗しても伝えやすい社会へ
西野 お母さんお父さんにも「正しさ」を迫る社会になってるのかな。「世間」や「ふつう」を気にするまなざしが強まっている。
「正しさ」を要求する社会で、親に「大丈夫」と言ってあげられないことも、親の生きづらさになってるんだと思うんだよね。
湯浅 こども食堂あるあるなのが、こども食堂で一番帰らないのが親っていう。お母さんたちもそういう居場所がほしいんだと思うんですけど。
私は格差もあるのかなと見ている。経済格差、教育格差。自分の上と下に人がいる中で、不安が高まる。受け止め方も「できる人が言ったこと」「できない人が言ったこと」と分けて意味付けをしてしまって、不安が強くなる。不安が高いのが、追い詰められ感というか、生きづらいんだろうなと。
西野 あの不安って、誰かに答えを教えてほしい、という思考停止に入った大人がいっぱいいるなあと最近思う。自分で考えて、失敗しても伝えやすい社会じゃないとすごく生きづらいと思うんですよね。
生駒 親御さん自身も、気を緩めて「うちこうなんだよね」と言える機会がほしいですよね。
(第4回に続く)
8月21日(土)19時半〜21時半オンラインにて(参加無料)