湯浅誠さん・西野博之さん対談記録vol.2【居場所のちから~大丈夫のタネをまこう】

「学校ムリでもここあるよ」オープニングイベント
居場所のちから ~大丈夫のタネをまこう湯浅誠さん・西野博之さんの対談記録を連載形式でお届けします。

*開催日:2020年8月22日(土)
*会 場:お茶の水エデュケーションプラザ(EDUPULA)
*主 催:NPO法人フリースクール全国ネットワーク、NPO法人 日本冒険遊び場づくり協会、FUTURE DESIGN(多様な学びプロジェクト)、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
ゲストスピーカー:
社会活動家/東京大学先端科学技術研究センター特任教授/全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長・湯浅誠さん

NPO法人フリースペースたまりば理事長/川崎市子ども夢パーク所長・フリースペースえん代表・西野博之さん

本イベントは全てYouTubeで公開しています!


第1話 「生きづらさ」は、「気遣われない辛さ」

行政と「こどもの最善の利益に立つ」

西野 画期的だったのは、公民協働でフリースペースを作ろうとしたこと。川崎市は過去に不登校生の宿泊治療施設をつくるという誤った政策を発表して、多くの市民からバッシングを受けたので、当事者の声を聞いて居場所を作ろうという動きになった。教育委員会の学校教育部指導課ではなく、生涯学習推進課が音頭をとって、条例と居場所づくりをしてきたんです。

これがすごくて、当時の生涯学習推進課が、「いつでもどこでも誰でも学べる、学校教育以外の学習権を保障しよう」と。これは学校復帰を目指す指導課とは不協和音が強かったのですが、その調整にまわった指導課長が立ち上がって発言した。

「夢パークに開設しようとしている不登校児童生徒の居場所は、学校復帰を考えない居場所で、(中略)学校に行かないことも選択肢として認知するということは、あらためて子どもの最善の利益に立つという考え方で、その根っこには子どもの権利条例がある。

つまり、学校に行けないで苦しんでいる子どもを学校教育の縛りから解放し、いたるところが学びの場だという考え方である。それを川崎として認める必要がある」と。

西野博之さん

何もしないことが認められる場所

このように議論を重ねて、プレーパークとフリースペースを併せもつ子ども夢パークができあがりました。自由な発想で自由に遊ぶ、「ケガと弁当、自分持ち」という合言葉で、やってみたいことに挑戦できる遊び場をつくりました。

ここはコロナ禍で学校休校や緊急事態宣言が出されたときも、休まず開き続けました。
安心して失敗できる環境を用意しよう、その考え方でフリースペースがある。色んな障害のある子、高校年齢の子も含めて無料で受け入れようと。生きてるだけでOKだよ、という場所を作っていこうと。毎日お昼ごはんを作って食べる、ということを大事にしています。

こどもの居場所っていうのは、何にもしないことが認められる場所だと思っていて、私たちはこども一人ひとりの得意なことは何か、をずっと見ようということを大事にしてきました。

大人の肯定的なまなざしが、「大丈夫」になる

大事なのは、大人の肯定的なまなざし。こどもの最善の利益を真ん中において、今生きていることを最優先にすること。私たちはこどもたちが「大丈夫」を手に入れられるようにする。あなたがいてくれて幸せだよ、と伝え続ける。大人が肯定的に「大丈夫だよ」と伝えているうちに、こどももいつか「大丈夫」になる。たくさん救えなかった命もある中で、私たちはそれを大事にしなければいけないんだと心から思います。

湯浅誠さん

進行・生駒知里

第3回に続く)

◉2021年のオープニングイベントを、8月21日(土)19時半〜21時半オンラインで行います!
参加者が100人を超えました。ぜひ周りの方とご一緒にご視聴ください。
YouTubeのコメント欄で質問や感想を送ることもできます!(参加費無料)
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9月6日まで60万円のキャンペーン資金を集めます。
ご支援や拡散にぜひご協力ください!