安心な居場所づくりの為に!セーフガーディング研修講座の報告

先日も開催予告をさせていただいておりましたが、、8月14日、#学校ムリでもここあるよ2021キャンペーン参加団体に向けてセーフガーディング研修講座を行いました。

こちらにも書いたように、今年のキャンペーン参加団体は、「セーフガーディング研修講座」の参加キャンペーン共通の「スタッフからのやくそく」を、入口や居場所の誰でも見えるところに掲示すること、この内容の誓約反することが起きた場合の実行委員会への報告を必須にしています。

キャンペーン共通の「スタッフからのやくそく」(表)団体で増やせるように空欄もつくっています。

スタッフからのやくそく(裏)キャンペーン期間中はキャンペーン実行委員会も窓口になっています。

研修講座は、情報量も多く、クイズやワークでたくさん考える必要がある、かなり濃い内容でしたが、普段はプレーパーク、フリースクール、子ども食堂、その他と普段の活動内容は違っても、「子どもの居場所」を運営されている方同士、とても熱心にご参加いただきました。アンケートにもたくさんの感想を記入いただきました。

アンケートにもありましたが、子どもは権利主体だということが一貫して伝えられ、被害を受けた時にどうして言いづらくなるのか、どうやったら予防でき、起きた時に相談しやすく、再発しない組織になるのか。様々な事例を元にお話しいただきました。以下、アンケート結果を中心に報告します。

講座概要

タイトル:不当な扱い、不適切な関わりから子どもを守るしくみを組織としてつくる―サードプレイスにおける子どものセーフガーディングー

目的:学校ムリでもここあるよ2021キャンペーンに参加する団体が、それぞれの現場で「スタッフからのやくそく」に基づき、子どもたちと共に、不当な扱い、不適切な関わりから子どもたちを守る、子どもと若者のセーフガーディング(周知・予防・報告・対応)に組織として取り組むはじめの一歩。

日時:2021年8月14日(土)19:30〜21:30
実施形態:オンライン会議(zoomミーティング)
参加費:無料
参加条件・対象者:学校ムリでもここあるよキャンペーン参加団体所属のスタッフやボランティアメンバー

ファシリテーターNPO法人CAPセンター・JAPAN事務局次長 重松和枝(しげまつかずえ)さん

プログラム
①活動紹介―CAPプログラムは予防の取り組み
②  セーフガーディングとは何か(フレームと歴史的背景)ー“めったに起きない”と考えるか、“起きるかもしれない”と考えるか
③  なぜセーフガーディングが必要な事態が起きるのか、なぜ発覚しにくいのか―“おとなの視点”と“子どもの視点”から考えるー(グループワーク)
④ そうは言っても現場では難しいことや迷うこともあるんじゃない?―これって〇?これって×?うーん△?ー
⑤  組織全体で取り組む意義―“子どもの権利は守られて当たり前!”をしくみにする。

NPO法人CAPセンター・JAPAN事務局次長  重松和枝(しげまつかずえ)さん

アンケートより

講座の感想を皆さんたくさん書いていただきました。そのうちの一部をシェアさせていただきます。

「分かっているつもり」が自分の経験だったり、とても古い考え方だったりすることに気付くいいきっかけでした。やはり大人も学ぶ場が必要だとしみじみ思います。

・やってはいけないこと、気を付けなくてはいけない事の具体的なお話があったので、理解しやすかったです。グループワークでも、大人の視点、子どもの視点と2回に分けて考えることで、子どもの視点で考える大切さがわかりました。

セーフガーディングの知識を知り、団体で問題意識が生まれたことは、とても良かったと思います。そして、グループワークで、団体の運営が長い方々の体験や意見を直接聞くことが出来たのも、とても参考になりました。

正直必要ないと思って参加しましたが、必要なことだと分かりました。そのことに気づかせてくれる内容でした。

・漠然と「ちゃんとしなくちゃ」と考えていたことを、言語化・見える化してくださったことがとてもありがたかったです。自分たちの組織で進めて行けそうです。

・子どもにとって安全・安心な居場所・学び場にとって、大変重要なテーマを学ぶことができました。セーフガーディングのテーマは、何度でも学ぶ機会を持ち、スタッフ・保護者・子どもたちと、学びあう機会を持っていく必要があると思いました。

子どもが話しやすくなる場づくり、スタッフ同士の情報共有やオープンに関わる大切さなど基本だけどやれていないことハッとさせられました。子どももスタッフ間も丁寧なやり取りと関係づくりを心掛けたいと思いました。

歴史的な背景などたくさんの資料と共に説明していただきました

自団体で他のメンバーとセーフガーディングについて取り組めそうですか?

取り組める:5 できなそう:1として5段階

多くの参加者が「取り組める」「取り組めそう」と回答してくださいました!また不安点も率直な現場の意見として出されました。研修講座は団体から最大3名まで参加できるようにしたので、複数名参加された団体からは「共有しやすくなった」という声をいただきました。また研修講座のアーカイブ動画やワークシートは団体内部の研修用にも使っていただけるようにつくったので、団体でセーフガーディングの共有や、自団体のセーフガーディングをつくる際に、使っていきたいという声もいただきました。
ぜひ「話し合い」の元として、使っていただければと思います。

(アンケートより)
・何が大切なのか、実際に起こった時にどんなことが起きやすいのか、それぞれのイメージではなく言語化して構造的に考えることができたので共通認識を高められそうだと思いました。

メンバーで研修内容の共有と話し合いをしようと思います。キャンペーンとしてでなく、継続的に話し合いが続けられるように出来たらと思います。ただ、日常に流されてしまわないかが心配です。

共有しなければもったいないと思う内容でした。自分たちが無意識にしているかもしれない権利侵害や不適切な対応がないか、日々考えていくことが必要だと思いました。

・運営スタッフ全員(4人)が、それぞれリアル参加や録画視聴にて、今回のプログラムを共有することになり、同じ意識を持てると確信できたため。丁寧かつわかりやすい解説により、漠然と構え捉えていた共通認識を、対話の中で新たに捉え直せていけると感じたから。

必要なことなので取り組んでいきます。子どもの権利を理解していても、メンバー同士で共有する機会がなかったので取り組みます。

・取り組まなければいけないが、どのように理解し共有していくか、濃淡をできるだけ小さくしていくことができるか不安がある。

・フリーランスのため、まずは「セーフガーディング」という考えを伝えることから始めたいと思います。

(その他感想、ご意見)

・もともと団体の会員やプレーパークに来ている親子向けに性教育の講座を考えていましたが、その必要性を一層強く感じました。 また、事例検討会を定期的に行なっているなかに、ワークに挙がった事例などを出し、会のスタッフ間で共通認識を深めていこうと考えました。

・コロナ禍の中子どもたちの置かれている環境はますます劣悪な状況です。危機感を持ちながらもアクションに移すことが難しかった中で、同じ思いを持っている仲間とつながる機会を作っていただきありがとうございます。

・子どもとの何気ないおしゃべりや振る舞いから、メッセージに気づく感性を磨きたいと思いました。それはスタッフとの間でも同じなのかもしれません。 会としてきちんと対応していくためには、今日の内容を共有して、誰もが同じ言葉で語れる(思いを持てる)ようにならないといけないと思いました。 今30代の息子が小学生の頃に、CAPの講座を小学校や子ども会でお願いしていましたが、 子どもの置かれている状況はあまり変わっていないばかりか、コロナでさらに追い打ちをかけられているのかもしれません。当時は親としてどう関わるかを問われていましたが、今は会のメンバーと一緒に悩みながらも進んでいこうと思います。

・最初に、世界中の組織で子どもに対して虐待や性的暴力があったという事実を聞き、大変ショックを受けましたまたそれが他人事でもないことを理解できました。それぞれの観点に関して、故意なのか、無意識なのか、大人視点・子ども視点と切り分けて考えることの大切さも学べました。また被害を受けている子どもを軸にということを繰り返し仰っていたことが印象に残っています。
とにかく1番弱者になりうる人に目を向けて、リスクを回避し、1人でも多くの被害を防げるといいなと思いました。

・フリースクールの運営をしていく中で、子どもの人権を守ることについて、子ども達にこのテーマを提示したりしたが、定期的に取り上げていこうと改めて感じた。今一度、自分達の活動や環境などに当てはめて精査して考えながら、問題点や課題を洗い出していこうと強く思った。また、こうした観点の取り組みは、子どもを預かり接する、すべての機関に於いて、子ども目線で大人が認識すべきだと再認識させられた。

・とても勉強になりました。昭和世代の古い考えのスタッフと平成生まれの若いスタッフもいる中で今の時代の考え方を理解してもらうのは本当に難しいと思っています。年代や性別や生活環境の違いなど多様性を認める中での活動ですので、共通認識をもっと活動することは不可能に近いと思っています。それでも被害者、加害者、傍観者を出さないため、取り組んでいきたいと思います。

・子どもの権利を保障し、活動することができていると思っていても、常にメンバーと一緒に振り返ることが実際にはできていなかったと実感しました。おとなの思い込みで進めてしまいがちであることも気づき、常に子ども目線で考えていきたいと思いました。ボランティアで関わる方々などとも、常にその視点を共有していきたいです。また、気づかずに子どもの権利を侵害してしまったり、子どもが被害者とならない気配りを、スタッフ間の複数の目で見ていきます。ありがとうございました。

・セーフガーディング研修とは話がずれますが、コロナ対策についても、キャンペーン参加に向け、文章としてまとめることが出来て、本当に良かったと思っています。コロナも、子どもの人権侵害も、楽観バイアスを持ちやすいですが、問題意識をもって、知識を得て、あらかじめ対応を考えておくことが、何よりも大切だと思いました。大きなきっかけをくださいまして、ありがとうございます。

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アンケートでもたくさんの意見をいただきましたが、今回の講座を「はじめの一歩」にして、引き続きそれぞれの団体でセーフガーディングの取り組みを続け、子どもを被害者にも加害者にもしない」、そして万が一起きてしまった場合は速やかな救済と再発防止に取り組む組織づくりを続けていってもらいたいと思います。

また、#学校ムリでもここあるよ2021キャンペーン実行委員会を構成する、子どもの居場所に関わる5つの全国ネットワーク団体が協力して、今回の研修を行えたことが、なにより未来の希望になると考えています。引き続きそれぞれのネットワーク団体で、子どもの居場所の安全を高める活動に取り組んでいきます。