湯浅誠さん・西野博之さん対談記録vol.7【居場所のちから~大丈夫のタネをまこう】

「学校ムリでもここあるよ」オープニングイベント
居場所のちから ~大丈夫のタネをまこう湯浅誠さん・西野博之さんの対談記録を連載形式でお届けします。

*開催日:2020年8月22日(土)
*会 場:お茶の水エデュケーションプラザ(EDUPULA)
*主 催:NPO法人フリースクール全国ネットワーク、NPO法人 日本冒険遊び場づくり協会、FUTURE DESIGN(多様な学びプロジェクト)、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
ゲストスピーカー:
社会活動家/東京大学先端科学技術研究センター特任教授/全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長・湯浅誠さん

NPO法人フリースペースたまりば理事長/川崎市子ども夢パーク所長・フリースペースえん代表・西野博之さん

本イベントは全てYouTubeで公開しています!


第1話 「生きづらさ」は、「気遣われない辛さ」

第2話 大人の肯定的なまなざしが、「大丈夫」になる

第3話 失敗しても伝えやすい社会へ

第4話 居場所でどんな力が育ってる?

第5話 自分の物差しを疑うということ

第6話 見逃してはいけないサイン

居場所は質より量

生駒 「親の不安が拭えたら。親が行けるサポート場はどれほどありますか?」と質問が来ています。

西野 親が語れる場ってすごく大事。僕らのところでは親の会も定期的に開いているし、かつては「たまりBAR」も月一回やっていました。こどもばっかりずるい、親だって溜まりたいっていう飲み会ですね。近々また再開させたいな。

親の気持ちを直接子どもにぶつけてしまうと、ろくなことにはならない場合が多いから、親も「あるある、うちもそうよ」って言える場を意図的につくることが大事。私たちのところでは、親たちが集まって、藍染めとかなにか手作業しながら語り合っている。そういう場も必要ですね。

生駒 湯浅さんの「繋がり続ける場」もそうですが、作業しながら参加するとか、大人もそうですよね。こども食堂はまさにではないですか?

湯浅 繋がり続けるためには繋がりすぎない、っていうのが大事なんですよね。色々な場を作っていくっていうのは、一つの団体だけでやれることでもないし、言い続けていることは「居場所は質より量」。百人が心地よい場所ってまずないですからね。

湯浅誠さん

生駒 質問で、「こどもの異変に気付いた第三者がいるけれど、親が聞く耳を持たない場合はどうしたらいいですか?」

西野 親はみんな聞く耳を持っているって、考えないほうがいい。様々な背景があるので。
親が受け止められないときは、親にかわって周りにいる大人たちが話を聴いてあげればいい。そんな繋がりが地域の中で増えていくといいですね。誰もが他者に完璧を求めないということを大切にしたいね。

生駒 親として子を周りで育てようというのは気が楽になりますね。
質問で「ゆめパークを私の町にも作りたいです。行政との連携と資金が必要ですが、何からどこから始めたらいいかアドバイスがほしいです」「行政や他機関との上手な連携はありますか?」

西野 最初僕らは行政から敵視されていて、潰れてほしいと思われているような団体だった。行政とうまくやろうというよりも、まずは一人の人間として、思いを伝える努力をする。さっきの親の話にも通じるけど、行政の中にも分かってくれる人・分からない人、どちらもいる。

西野博之さん

分かってくれる人を見つけることと、分からないひとを攻撃しない・怒鳴らない。丁寧に根っこの思いや理念を共有していく努力をすること。一緒にこういうことができたらいいよね、と伝えることを諦めない。相手を打ち負かすことが大事なわけじゃないからね。大切にしたいことを真ん中に据えて、根回しを重ねていくしかない。

湯浅 最初からゆめパークみたいなものを作ろうとせずに、とりあえず動いてみることがいいんじゃないかなと思います。

いろんなところに居場所をつくって広げる

生駒 次に行きます。「階層間格差の拡大で、居場所に行ける行けないもあると思います。どう考えますか?」

西野 居場所に払えるお金を払えない家庭が増えているという実感は、以前からありました。
食べられない人が増えているので、まずは食べられる環境を用意していくことが大事なのかなと思って、さらなる次の準備を始めています。

川崎市では、フリースクールまでの交通費や合宿費などの一部が支給されるようになりましたが、国が予算を組んでいるのに他の自治体に広がらないっていうのもある。いろんなところに居場所をつくって、その必要性を広げていかなきゃいけない。

湯浅 基本的な考え方は、受益者負担が成り立たないなら第三者に出してもらうっていうことですよね。行政、税金、民間とかね。運営者としては別ルートから調達するっていうのも手ですよね。受益者負担・公的なお金・民間のお金の三つが基本ですから、やり方としては非常に多様にあるので、そこはぜひ追及してもらいたいですね。

進行・生駒知里

(第8回に続く)

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◉2021年オープニングイベントレポート
8月21日(土)19時半〜21時半
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